それから必死に坂を上っても、結局教室についた時には余裕で20分を過ぎていて、登校日初日から先生に注意を受けたのは言うまでもない。
「アオイ、おはよ」
「おはようりっちゃん~」
「初日早々遅刻とか、アオイらしすぎて笑っちゃったよ~」
「笑わないでよ!」
「ま、地獄坂は仕方ないっしょ~」
そう言って笑うのは、
竹浦律(タケウラリツ)ちゃん。
通称 りっちゃん。
りっちゃんとは保育園からずっと一緒のいわゆる幼なじみで、高校生になった今でも仲が良い。
自分の意見を通すことが苦手な私と反対に、思ったことを真っ直ぐ伝えることができるりっちゃんは、保育園の頃から私の憧れの人だ。
中学校3年まで、2人で長かった髪も、高校に入ると同時にりっちゃんはバッサリ切って、今はショートボブ。