「お前なんて大嫌いだ」

「ぜっこうな!」

「お前なんてこの世から消えてしまえば良いのに。」

友達になっては裏切られ、毎日欠かさず苦しむ少女、奈々がいた。

あれは、小学3年生の頃の事だった。
ある一人の男子が奈々のつけている眼鏡をからかったのがきっかけだった。
その頃の回りの友達は皆眼鏡なんてかけてなくて。そんな中でかけている奈々は、少し変な目で見られることが多かった。
奈々の眼鏡は、まわりが銀色の昔のひとがつけるような、そんな眼鏡だった。
ある一人の男子は、
「その眼鏡だせーな。おばさんだな」
といってきた。まわりの皆も納得してる子もいるし、ずっと笑っている子もいた。
でも、
「そんなことないよね?奈々がおばさんだったらあんたらもじゃん?そんなこと言ってる暇あったら少しでも学力あげたら?ばかだね。
奈々。気にしなくて良いよ。帰ろ」
と言ってくれる、奈々のたった一人の親友、悠莉は本当に大切な存在だった。
皆になんて言われても、悠莉がいたら乗り越えられると思っていた。

だけど。4年生になった頃から、悠莉は口もきいてくれなくなった。それどころか、廊下であったら挨拶なしに睨んでくるようになった。奈々は、なんでこうなったかは分からなかった。急にそのようになって、戸惑っていた。
悠莉は、友達に「いつも仲良くしてたおばさん奈々はいいの?」といわれても、「いいよ。」と言っているのを知って、本当にショックをうけた。
だから、奈々は勇気をふりしぼって悠莉に伝えた。
「ねぇ悠莉!なんでしゃべってくれないの?無視するの?そんなのいやだよ!」
奈々は半分泣いていた。すると、悠莉は吐き捨てるように言った。
「私はなにも困らないから。困るのはあんただけだよね。そんなに泣かれても、あんたの事嫌いだから。もう喋りかけないで。」
そう言って、反対を向いて歩き出した。
「ねぇ!これだけは答えて!」
奈々は大きな声で悠莉を止めた。
「何?言いたいことあるならはやくいってよ。」
「なんで?私の事急に嫌いになるの?」
悠莉は笑って答える。
「そんなの、あんたの両親が離婚したからに決まってるじゃない。あんたのお父さんの会社倒産したんだってね。それだと、これからお菓子とか買ってもらえないじゃん?もうお小遣いもらってないんでしょ?ハハハ。」
そういって、走っていった。
奈々は悔しかった。ただ、お菓子を買ってもらいたいために私と遊んでたなんて。
奈々は、昔そのことを、聞いたことがあった。三年生の中ごろ、ある一人の男子に、あまり、悠莉とつるまない方が良いんじゃない?と。あの子が言ってたことは、こういうことだったんだ。無意識のうちにたくさんの涙が出てきた。
悠莉と遊ぶときは、いつも駄菓子屋にいっていた。悠莉はいつも、家に財布を忘れたといっていた。そんなとき奈々は私が買ってあげるよ。といった。奈々と悠莉で1日800円くらい使っていた。それをほぼ毎日だ。
でも、あのときは、たくさんお金があった。お父さんは大手企業の社長だった。お金がほしいといったらたくさん与えてくれた。お母さんも、いつもパートにいっていてお金をくれた。それに、奈々はクラスで友達が少ないと両親は知ってた。だから、友達とお菓子を買いに行くといったら、たくさんお金を与えてくれた。
だけど、四年生になったとき、お父さんの会社が倒産してしまい、急だったため、お父さんとお母さんは離婚してしまった。そんなとき、奈々はお母さんの方に行くことにした。もちろん、今までのようにお金はたくさんくれない。悠莉と遊ぶときも、払ってあげることはできなくなってしまった。
「利用されてたなんて…。」
奈々は、この世の人を信じる事はできなくなったしまった。

「お前の両親って別れたらしいな!だからお前も友達できても別れるんだろ?悠莉のこともあったしな。」
と言って、皆に言われた。
小学四年生という、小さな歳にして苦しい思いをした。
そしていつのまにか、奈々心にはプツリと大きなキズができてしまった。



「大丈夫?」
でも、たった一人だけ。声をかけてくれるひとがいた。その男の子は相川 優斗と名乗った。
「お前さぁ。学校違うけど、お前のこと聞いてるぜ。大変だな。でもさ、そんなことで悲しむなんてただのヘタレだな。別に嫌われたって良いじゃん。お前は俺よりなんんねんもいきることができるんだから。」
「え?」

ー私はこの時、
彼のいっている意味が
わからなかったー