君と出会ったのは
あの、肌寒くて
澄んだ空に少しだけ冬の足音が混じる。
爽やかな秋の朝に突然訪れた
私の中の非日常

私は中島彩桜(なかじまさら)
高校2年生
親友の北島美月(きたじまみづき)
と一緒に登校していた

「寒いね」

2人とも首にはマフラー
手袋をして
息を白くする

「寒いよね...」

私は寒すぎて
返事をするのが
めんどくさくなった

「今日、小テストするって」

「え?!そんなこと言ってたの?」

テストなんて知らない

「学活の時間言ってたよ」

「嘘ー寝てたよー」

勉強してなかったよ
ぶーぶー言いながら
話していると

「彩桜あぶない!」

「えっ?」

ドン!

最初は何が起こったかわからなかった

「いててて」

地面に尻餅をついた
どうやら、人とぶつかったらしい

「ごめんなさい」

ぶつかった人は男の子で
知らない子だった
でも、私と同じ
制服を着ていた
その子は手を差し伸べてくれた

「あ、ありがとう」

すこし、照れながら
手を掴み起きあがる

「本当にごめんね」

そう言い行ってしまった

「大丈夫だった?」

「う、うん」

あんな子見たことなかったら
多分、違う学年だろう

「あの子知ってる?」

「あぁ2年3組のふわふわ王子」

「ふわふわ王子?」

なんか、絵本の中に出てくる
王子様みたいだ

「そう、頭の中がふわふわしてるから
でも、見た目はかっこいいから」

そういえば、すごくかっこよかった
でも、見たことないはずはない
私は会ったことある人は
必ず覚えているから

「私見たことないよ?」

「休み時間はずっと寝てるからね」

なるほど、だから見たことないのか

「で、名前は?」

「星野成希(ほしのなるき)」

「へー」

ぶつかった事ちゃんと謝ってなかったから
会ったとき謝ろうと思った