【完】ぎゅっとしててね?

通りすがりの女子とバチッと目があった。


ネコ目の大きな目。長い睫毛。
胸下まで伸びた長い髪が風に揺れている。
違う中学の制服だ。


なんとなく目を奪われていると、


「桜、咲いたの?」


ピンクの唇がきゅっとあがった。


……桜?
あ、合格ってことか?


「あぁ、受かったけど」


「おめでとう」


さらさらなびく髪は茶色く長い。
名札がないから、どこの中学かもわからない。


校則がゆるいのか?
校則のゆるい学校なんてあったか?


派手だなぁ、なんてぼけーっと眺めてたら


「喧嘩?……って言ってもキミが一方的にやられてたけど」



首を傾げて俺に問う。


「別に……。いつものことっつうか。ひがみだろ」


「そうなんだ」


ふぅーん、と俺を凝視する。