【完】ぎゅっとしててね?




SIDE 弥生


***



………………。

…………。



あれは、雲ひとつない春の日。


目の前には川城高校合格者の受験番号が貼り出されている。

ぎゅっと単語帳を握りしめて数字を追ってた。



1213番……。
あ。あった。
よかった、受かった。


「へぇ、弥生受かったんだ」


嫌味な声。
まただ。

隣にいるのは、同じサッカー部だった元部員。


「三年の最後まで部活してたくせに高校まで受かったとか。天才はいいよなぁ」


嫌味な言葉。
おめでとう、なんて言われるとは思ったこともないけど。


「でもまぁ……俺、弥生と別の高校でよかったわ。じゃーな」


いつものこと。
サッカー部でスタメンに選ばれた時も、上級生に部長を任された時も。
成績も、なんでも。

いつだってこうだ。


天才はいいよなって嫌味ばかり。


どれだけ努力してたって見てる奴なんかひとりもいない。



馬鹿じゃねぇの。
何もしないでできるわけねぇだろ。


去っていくあいつの後ろ姿。


最後だから言い返してやろうと思って振り向いたその時。