SIDE 弥生
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あれは、雲ひとつない春の日。
目の前には川城高校合格者の受験番号が貼り出されている。
ぎゅっと単語帳を握りしめて数字を追ってた。
1213番……。
あ。あった。
よかった、受かった。
「へぇ、弥生受かったんだ」
嫌味な声。
まただ。
隣にいるのは、同じサッカー部だった元部員。
「三年の最後まで部活してたくせに高校まで受かったとか。天才はいいよなぁ」
嫌味な言葉。
おめでとう、なんて言われるとは思ったこともないけど。
「でもまぁ……俺、弥生と別の高校でよかったわ。じゃーな」
いつものこと。
サッカー部でスタメンに選ばれた時も、上級生に部長を任された時も。
成績も、なんでも。
いつだってこうだ。
天才はいいよなって嫌味ばかり。
どれだけ努力してたって見てる奴なんかひとりもいない。
馬鹿じゃねぇの。
何もしないでできるわけねぇだろ。
去っていくあいつの後ろ姿。
最後だから言い返してやろうと思って振り向いたその時。



