そして最後のテスト、英語も終了。



この瞬間には毎回思うんだ。
一夜漬けはもうやめようって。



「芙祐」


久しぶりに名前を呼ばれた。
ヤヨ、だ。


「それ持つから」


ってあたしが抱えてる段ボールを指さしてる。



ヤヨの声聞けるのちょっと嬉しい。
でも、ちょっとむかつく。



「いいよ、これクラス委員の雑用じゃないし。あたしが山田を捨てた罰らしいから」



罰っていっても、ただノートを運ぶだけだよ。
だったら最初から教えるんじゃなかったよね。



「お前ふらふらじゃん」


「そんなことないよ」


「また寝てないんだろ?」


「大丈夫だよ」



そう言いながらも、階段に差し掛かる。
一段、降りた瞬間。


ぐらり。
景色が歪んだ。


ぱちぱち。
目の前に火花、のち、暗転。


「芙祐っ!!!」


手から投げ出された段ボール。
ばらばら落ちる音がした。


「……いてて」



クラクラする頭を両手で抑えた。
お尻が痛い。
目の前には散らばったノートたち。



あたし……階段から落ちた模様。
のわりに、そんなに痛くはない……?



あ、あれ?






「っ!ヤヨ!!」


あたしの下にヤヨ。
急いで退いて、顔をぱちぱちしてみるけど



「ヤ、ヤヨ……?ね、起きて」



ヤヨが起きない。
何をしても起きない。



頭?
打ったの?


「ねぇ、ヤヨ!起きてよ……!」