「あたしにはちゃらく見えるよ。でもいいと思う。あたしも男ならそうしてる」


「芙祐ちゃんもたいがい小悪魔だと思うけどねー?」


「小悪魔ぁ?」


思わず眉をしかめちゃう。


打算的とか、したたかとか、そういう風に思われるのは心外なんですけど。



だって計算なんかしてないもん。自分に正直なだけです。
って、心の中で反論しとくね。
こう見えて平和主義なの。



「ごめんごめん、いい意味でね」


「ふぅーん。特別に許してあげる」


「ありがと」


クスっと笑う慶太くん。
甘いフェイスにゆるい雰囲気。



「芙祐ちゃんて、ちゃらい人はお断りでしょ?」


「うん」


「だったら誤解とかせてよ」


真剣に、じぃっとあたしを見つめる。
色素の薄い綺麗な瞳。
慶太くん、やっぱり綺麗な顔してる。



「俺は同時に何人もの女の子と遊ぶようなことしないよ。芙祐ちゃんもそうでしょ?」



「しないね」


「付き合えば他はみないし」


「あやしい……」


「ほんとだって。フリーならデートくらい来る者拒まないだけ。でも付き合うわけじゃないよ。一線も超えないしね」


「あー、それはあたしもそうかも」


「ね?今日みたいに誘ったりは、興味のある子にしかしないよ」


って、にこって笑う。

そしたら興味持たれてるんだね、あたし。



「芙祐ちゃんと俺、似てると思うけどなー、考え方とか」


ずずり、キャラメルマキアートを飲んで目をそらすけど、慶太くんは超こっち見てるよね。



「合うと思わない?俺たち」


うん、

「ちゃらい」


「ひどー。聞いてた?俺の話」


「いきなりそういうこと誰にでも言うのはちゃらいよ、さすがに」


さすがのあたしも苦笑しちゃうよ。


「まぁ、いいや。言ったくらいで誤解が解ければ世話ないもんね」


「”男の言葉は信じるな、信じていいのは行動だけ”ってママが言ってたよ」


「へぇーなにかあったの?お母さん」


飲み終えたカップを置いて、慶太くんはニッと笑った。



「とりあえず、俺のこと見ててよ」


そう言ってあたしの瞳を捉えると



「俺、芙祐ちゃんのこと本気だしてもいい?」



そう言って笑った。