がらっと開いた教室の扉。


「芙祐ちゃーん」


ビニール傘2本持って、手を振ってるのは、慶太くん。



「誰?」


ってヤヨが耳打ち。
誰って、言われても……。


「うーんと、トモダチ?」


「なんだ、芙祐ちゃん二人でいたんだねー。芙祐ちゃんと彼の家は近いの?」


「校門出たら真逆なんだよー」


「そうなんだ。じゃあ、ハイ」


って2本、傘を差し出された。


「え?」


「ちょうど2本あるから」


「ありがとう」


って受け取ってから気づいたけど。


「慶太くんの分はあるの?」


「俺んち学校からすぐだから。大丈夫」