【完】ぎゅっとしててね?

「芙祐何してんの?!指導室行かなかったの?」



飄々と教室に帰ったら、藍ちゃんに怒られた。



「そんなことするの芙祐くらいだよ!どうなっても知らないからね!?」


「藍ちゃん冷たい」



でもね。
バックレたわりに、何も起こらない。


お咎めナシ?


なんか普通に授業はじまっちゃって、
普通にお昼休み迎えちゃった。
ラッキー。



お昼休み、藍ちゃんは優しいから
あたしと一緒にお弁当を食べてくれる。
匠くんごめんね。



「ねぇお昼休み、理数科行こうよ」


藍ちゃん、またあたしとヤヨを仲直りさせる話はじめたね。



「いいよ。ヤヨも困るよ」


「さんざん困らせといて、何をいまさら」


「何にも言えないんだけど」


お弁当を片付けるやいなや。
藍、超強引だから。


あたしの手を引いて、進むのは理数科の教室。



「やーーだーーー」


半ば引きずられて、
たどり着いちゃった。



ていうか。
あたしたちの教室と理数科の教室こんなに近かった?



「あ。いたいた!」


「いい。本当に帰るから」



「ちょっと待ってよ!芙祐!!」



藍ちゃん声大きい。


しかも、藍ちゃんチカラつよ。
もしかして男子?いや、嘘。


でもなにこの馬鹿力?
腕捕まえられてはなれないんだけど。



「弥生!」


「手招きしなくていいから!」


こっちを向いたヤヨと目が合った。


ビクリ。
一歩あとずさ、れない。
藍の馬鹿力は継続中。



ヤヨが近づく。


「何?」


ヤヨはわざとらしく
藍だけに向かってしゃべってる。



「芙祐の噂はもう聞いた?」



藍ちゃん、噂ってなんのこと?



「知らね」


「嘘っぽいなぁ。まぁいいや。芙祐と慶太くん別れたよ。もう仲直りしたらどうかな……っていうか」




藍ちゃんはあたしをヤヨの前に突き出した。




「芙祐は反省しなさい」



え。



「弥生に謝りなよ。人として。そのために連れてきた」



藍ちゃん。
本当に。

こういうところ
尊敬してる。



「ヤヨ……」


じゃないんだっけ。


坂木くんって、呼ぶんだっけ。


あたしはヤヨを見上げて、
言葉を探す。


だって、何から謝っていいかわかんない。



「藍。こいつと二人で話してもいい?」


ヤヨはあたしに「こっち来い」って。


非常階段の入り口のベランダに、二人で出た。