振ったのは俺だけど、
本当に振られたのは俺の方。


だから、っていうか。
一個聞きたいことがある。





「俺と楽しい思い出できた?」



「楽しい思い出しかないんだもん……っ」



あーあ、また泣いた。
もう涙は拭わないからね。



「ならいいや」



芙祐ちゃんの頭は、
楽しいことは”永遠リピート機能付き”らしいから。



もうそれで十分。



最後だって思うと、道のりって余計短く感じるものだね。




「もう……っ、ほんとに、最後なの?」



大粒の涙。
まだ枯れないみたい。



「最後だよ」


「……っ」



"泣かないで。"

そんな言葉、思ってもなくてごめんね。




「俺のために泣いてくれてありがとう」




……降参だよ、芙祐ちゃん。