芙祐ちゃんの手のひらから、桜の花びらが零れ落ちた。
「……あたしのことキライになった?」
俺のところまで歩いて、大きな目が俺を見つめる。
「キライになったわけじゃないよ」
よしよし、頭を撫でると、芙祐ちゃんの手はそれを払った。
「やだ」
芙祐ちゃんは俺の手を捕まえて離さない。
「やだってのが、やだ」
俺の気持ちなんか簡単に揺らぐからね。
……そんな目で見なくていいから。
俺、笑えなくなるじゃん。
「やだ……別れたくない」
芙祐ちゃんの目に涙がたまっていく。
「あたし最近、態度おかしかった……かも、しれないけど、直すから。全部……っ」
ひっく、嗚咽を漏らしながら、
何度も目をこすってる。
そんなにこすったら
「……痛くなるよ」
芙祐ちゃんの手を取り上げると、「別れたくない」って小さく叫んだ。
しゃがみこんで泣いちゃった。
そばに寄り添い、俺もしゃがんだ。



