教室に戻る途中。


「弥生ー!」


女の子の甲高い声。
その声に振り向いた。



「今から理数科に行こうかなって思ってたとこなのー!これ教えて?」


ぴょんぴょん。あの子うさぎかな。
ヤヨに差し出すノート。
それをのぞくヤヨ。



……ちか。



「じゃあ教室来て」

「やったぁー」



二人はあたしの横を通りすぎて、
理数科の教室の方へ歩いていく。



ヤヨの世界に、もうあたしはいないみたい。



先にヤヨをあたしの世界から追い出したのは、
まぎれもなくあたしなのに。




大っ嫌いになってくれたのに。


大っ嫌いになれない。


消えてもくれない。