「芙祐ちゃんの髪、ストレートでおろしてるのって珍しいね」


うん。
せっかくの晴れた春の日なのに、
巻く気分になれなかったの。



「変かな」


「可愛いよ」


にっこり、慶太くんの笑顔で
元気になれるはずなのに。



ため息、でそうになった。今。



「慶太くん、今日の放課後遊ぼ?」


ぱーっと、ずっと一緒にいたら。



きっとヤヨの存在ごと、全部忘れちゃう。



「いいよ。どこ行きたい?」



「一緒にいれればどこでもいい」



「可愛いこと言うね。んー、桜のライトアップでも見に行く?三色団子おいしいらしいよ」



「桜……お団子」


「三食団子嫌い?」



キライ?



……”お前みたいなやつ、大嫌い”。



ヤヨのことば、思い出した。



途端に胸がぎゅって……痛い。



「芙祐ちゃん?」


「あ……うん」


なんだっけ。


「桜はあんまり興味なかった?」


そうだ、お花見。


「ううん、大丈夫」


「乗り気じゃなかったじゃん。無理しなくていいよ」



慶太くんは優しく笑う。


こんなに優しくてかっこよくて愛してくれるひと、ほかにいない。
いるわけない。