一応俺とお前、モト大事な友達なんだろ?



顔、伏せんな。


そのかすかな涙目。
せめてもう少し潤ませろ。



「俺もお前なんか忘れるから」



もう手も出さないし
話しかけもしない。




「これだけ話さなかったら目ぇ覚めた。他人になろーぜ。土屋さん」




あいつの大きな目から大粒の一滴が落ちた。



よかった。



……泣いてやんの。
ザマアミロ。




そう心で思ってるはずなのに、体は勝手に動いてた。


なんで俺、こいつの涙拭ってんの。



……間違った。今の無し。



つーか、なんでそんな目で見るんだよ。



失恋してんのこっちだろ。
こっちが泣きてえわ。普通に。



結局のところ
一度も男として
見てくれなかったんだよな?



他の奴には簡単に落ちるくせに。




「お前みたいなやつ……大嫌い」




好きすぎて、まじで嫌い。
もう見たくもない。
しんどい。




芙祐は顔を伏せてたから
どんな顔してたのかは知らない。



俺は踵を返し、教室の後ろのドアから廊下に出る。


追いかけてくるわけもない。


別に。
わかってるけど。



唇をかみしめて、
もうこれで満足したことにした。





俺は有言実行派だから。
言った通り、お前のことなんか大っ嫌いになってやるし、



きれいさっぱり忘れてやるから、どうぞお幸せに。悪魔さん。