玄関に着いたら、さっきの女子発見。
悪口言ってきたあの子。
こっちを伺ってる?


わかった。
あたしが慶太くんにチクってないか気になったんでしょ。
後悔したのかな?



まだイエローカードだからね。
大丈夫、言わないよ。




「芙祐ちゃん?」


差し出された手のひら、遠慮なく掴むけどね。



「さむっ」


玄関の扉を出た途端、
2月の冷たい風にブルっとした。



「おいで」


慶太くんの腕にすっぽり。
背中に手を回されて密着。



「あは……」



これはさすがに
あの子からの視線がイタイけど。



「ほっぺ赤いよ?」


のんきに。
いたずらっぽく笑う、慶太くん。


赤くなるのはきっと。
条件反射のようなものだよね。




「あんま見ないでよ」


なんでそんなにじーって見るの?
だんだん恥ずかしくなってきたよ。


そーっと目をそらして。
さりげなくマフラーに顔をうずめるね。



そしたら慶太くん。
白い息、吐きながら
あたしの耳元に口を近づけて、


「逃げんな」


って、低い声、落とすでしょ?




「―――っ。色気大魔神……」



「ははっ」



胸、どきどき。
あたしは一瞬でとろけたのに。
慶太くんはそんなあたしを見て楽しそうに笑う。