あたしは、慶太くんだけ。
放課後はダッシュ。英文科へ。今授業終わったみたい。
「慶太くーん、帰ろ」
「早いね。ちょっと待ってて」
慶太くんは隣の席の女子にノートを見せてる。
子猫ちゃん、あたしの方ばっかり気にしてないで、手を動かしてね。
ドジっ子なのかな。
かなり書き間違えては消してを繰り返してる。
……あ、もしかして。緊張してるんだ。
慶太くんが見てるもんね。
ついでにあたしも見てるもんね。
一旦教室から出ておこう。
そう思った時。
「……ミサキちゃん、それ貸しておくから。俺帰るね」
「え?」
戸惑う女の子を置いて、慶太くん、あたしのところに来ちゃった。
「いいの?あたし待ってるから大丈夫だよ」
「行こ?」
あたしの手を引いて歩き出す、彼を見上げた。
ちょっと強引。
ちょっとドキドキ。
学校をでたら、ほんとにすぐ。
慶太くんの家についた。
今日もサッパリ片付いてる、慶太くんのお部屋。
いつもみたいにぐるりと一周見ていたら。
「あ」
って声がした。
いま何か隠したね、慶太くん。
じぃーっと見つめると、慶太くんは困り顔で笑う。
「やましいものじゃないから」
慶太くんの目に嘘はなさそうだけど。
「怪しい」
「怪しくない。けど見せれないから」
慶太くんは苦笑いしてる。
そっか、男子だもんね。
アンナモノやコンナモノのひとつやふたつ、あってもおかしくないのかも。
うん、きっとそう。
話変えよ。
「この前のDVDの続き観たいな」
「じゃあそれ持ってくるわ」
部屋を出た慶太くん。
さっき隠した何か、覗こうと思えば覗けるけどね。
もしも巨乳ものだったら辛いからやめとくね。