「また会いに来てもいい?モグ」



麻里奈の寂しげな表情に嘘はない。



俺たちは頻繁に会うようになったのは
麻里奈の飼い犬が事故で亡くなってから。



「パクんとこ、またお参りに行くわ」


「ありがと」



中学のとき、近所のおばさんの家から、俺たちは1匹ずつ仔犬を貰った。


パクパク食べるからパクと、モグモグ食べるからモグ。
仔犬の兄弟に麻里奈が名前をつけた。



その兄、パクが……。

……ペットロス、考えただけで、無理。




「やっちゃんありがと。また寄せてね」


外はもう暗い。


「危ないから送ってく」



モグを連れて、玄関を出た。



「やっちゃんならきっと……その子、奪えるよ」


にこっと笑う。戦慄。



「麻里奈が言うと怖いわ」


「えぇ、そうかな……?」



中学の時のような感情はお互い全くないけど。



芙祐みたいに、あっさり簡単に縁を切れるって、俺には理解不能。



「そうだやっちゃん、2年生の時のクラスでクラス会あるって聞いた?」


「あぁ、聞いた」


「行くでしょ?」


「行こうかな」



2年のクラスなら嫌なやついなかったし。



「たのしみだね」