【完】ぎゅっとしててね?

ヤヨを置いて、大慌てで逃げてきたけど。



英文科の教室の前で、一時停止。思考開始。



……"浮気"?



どうしよう。しかもこれで二回目のキス。



……でも。
慶太くんには言わなきゃわからないはずだし。



「あれ?芙祐ちゃん。終わってたんだね」



帰ろうかって、にっこり笑う慶太くん。



「……うん、帰ろ」



どうしよう。どうしよう。
言わなきゃばれないし。
言わなきゃなかったことになるし。



黙っておけば……


「なんかあったの?」


「え?!」


ドッキンって、心臓半分くらい飛び出たと思うよ。



「……」


無言であたしをみつめるその目が。
もしかして、



「……見てたの?」



「何を?」



見てるわけないじゃん。
あんなところに行くわけないじゃん。
何墓穴ほってんの、あたし。



「なんでも……な」


……っ、めちゃくちゃ見てる!
訝しげに見つめる慶太くんに、固まるあたし。



「もしかして弥生くん?」


「……」



嘘も隠し事も、悪人の所業だね。
しちゃいけないことだよね。



「ごめんなさい。ヤヨに……キスされた」