しゃがみこんでプリントを仕分ける。
なんて地味な作業。



「浮かれてるから落とすんだよ」



「だってなんか、慶太くんに早く会いたいんだもん」



「……あっそ」



「ヤヨは?もしかして、今日も麻里奈ちゃんがヤヨのこと待ってる?」



あたしがやるから帰っていいよって慌てて言ったのに。



「待ってないし。怖がりのくせにそんなことよく言うな」


呆れてる。
たしかに、そういえば、こんな部屋にひとりぼっちとか怖すぎる。



社会科資料室って、なーんか暗い雰囲気だもん。



「すぐ終わらせるので、お付き合いお願いします」



ぺこりと頭を下げた。



「はいはい」



床に座り込んでプリントを仕分ける。ヤヨは器用だから、あたしの2倍の速さ。



「ヤヨちゃんは頼りになるなぁ」



「言ってろ」



「本当なのに」



使えるやつとか、そういう意味じゃないのに。



「親切だし優しいし、モテる男は違うね」

って意味だよ。





「……誰にでもそうだと思う?」



ヤヨは手を止めて、いきなり真剣な顔であたしを見た。



「誰にでもそうじゃん」



ヤヨは親切な子じゃん。
あたしちゃんと見てるもん。知ってるよ、そんなこと。




「やっぱお前馬鹿だわ」



「口の悪い猫ちゃんだね、びっくりした」


ていうか、人のこと馬鹿っていうけど。
この前のテストの総合点、ヤヨに勝ったし。って言おうかと思ったその時。