「手伝ってくれてありがとう」


「いつも大変だね」



意外と長引いた委員の仕事が終わって、芙祐ちゃんの自転車をひきながら帰る道。




芙祐ちゃんのコートのポケットからスマホがのぞいてる。



まだ、あの写真保存されたままなんだろうな。

……芙祐ちゃんが海で撮ったっていう、弥生くんの寝顔の写真。



クリスマスイブの日。
"その写真今すぐ消して"って、マジで言いそうになったから。



「慶太くん?どうしたの?」



「なんでもないよ。寒くない?」



芙祐ちゃんの小さい手。
1月の外気にさらされて、冷えた手のひら。
そっと繋ぐだけで、彼女は口元をほころばせる。



嫉妬心が邪魔。



俺のことを選んだ芙祐ちゃんがここにいる、それだけで十分なはずなのに。