あたしって、数あるうちの一人なんだろうな。
そりゃそうだけど。慶太くんだもん。
でも、こんなに余裕にされる?



あたしは紅茶も喉を通らないのに。



「そういえばこの前匠と藍ちゃんがさ」



藍ちゃんカップルの面白話とか、学校であった面白話とか。
なんでこんなにいつも通り話してるの?慶太くん。



クリスマスだし。
ていうか、初めて家に来たんだし。



……ちょっとは、ドキドキしてよ。




「慶太くん」



隣に座るあたしの方を向いた瞬間。



ちゅ、って音を立てて、唇を重ねた。




むかつくんだもん。


ぎゅーって抱きしめたら、いい匂い。
アロンだけじゃない。慶太くんの匂い。





「……人がせっかくムードぶち壊してあげたのに」




慶太くんの声が耳元で聞こえる。


バッと体を離されて、何度もキスされた。



「……んんっ」



思わず、声が漏れちゃう。
突然のオオカミなんだもん。
まっすぐあたしを見つめる瞳。




「もう無理。理性飛ばしたの芙祐ちゃんだからね」