ついに。
家に帰って、あたしの部屋で2人きり。
ケーキは冷蔵庫にいれたし、
コートもかけた。



……緊張。
今までこんなに緊張したことないよ。



時刻21時前。



「芙祐ちゃんの部屋、女の子って感じだね」


「そうかな?」


慶太くんは落ち着いて、出した紅茶を飲んでる。

慣れてるんだなぁ。こういうこと。



「芙祐ちゃんさ、構えないでよ。そんな突然襲わないから」



苦笑いで両手を挙げる慶太くん。
何もしません、だって。



気を紛らわせてくれてるのかな?
テレビをつけて、ちょうどやってた映画を鑑賞中。


慶太くんはたまに声を出して笑うくらい、楽しそうにみてるけど。
あたしには内容が入ってこないよ。全然。


きらりと輝く薬指のリング。眺めてみた。
"指、触ればわかるよ"


どこまで嘘なのかな。


慶太くんって。




「慶太くんは何人の子と付き合ったことがあるの?」



「んー?」



にっこり、笑って流された。
両手両足じゃ足りないと見た。