「……泊まってください」



そう言ったら、足を止めた、慶太くん。



「止まってじゃなくて。……うちに泊まって?」



恐る恐る見上げたら、一瞬きょとんとして、



「はは……っ」


っていつもみたいに笑った。


「芙祐ちゃんはズルいね。…本気?」



「うん……したい」



「……」



……だ。黙っちゃった!


慶太くん、何か言って。
顔熱い。熱い。顔どころか全身から火が出そう。
ホッカイロの馬鹿。ヤヨの馬鹿。



「……はー」



沈黙を破ったのは慶太くんの溜息。



……ハズシター。



顔を手で覆って、現実逃避。


すごいこと言った。今すごいこと言った、あたし。
したい、って。処女なのに痴女か。



「芙祐ちゃん」


あたしの手を顔から離させると、



「もう逃がさないけど、いいの?」



慶太くんの低い声が耳に届いた。