「藍ちゃん、決まった?」
「うーん、迷うなぁ」
クリスマスのために、彼氏へのプレゼントを選び中。
慶太くんの欲しいもの、ぜーんぜんわかんない。
「匠くんとお揃いにしちゃおっかな」
「男同士でおそろって」
「うん。やめようね」
何がいいのかなぁ。
なんとなく入った雑貨屋さん。
入り口に並べられたブランケット、可愛い。
ヤヨも授業中にひざ掛けでも使ってれば風邪なんて引かないのに。
って、あの風邪はあたしのせいか。
「芙祐ー、このマグカップ見て」
藍ちゃんが指差すペアの白いマグカップ。持ち手はゴールドで犬のモチーフ付き。
「可愛いね」
プードルもある。超可愛い。
ヤヨの愛犬、モグちゃんみたい。
……。って。
「さっきからヤヨへのプレゼントばっかり思いついちゃうよ」
「浮気?」
「とんでもないよ」
慶太くん、香水好きだろうけど、アロンのままでいて欲しいし。
「何買おう?」
頭から煙でるほど悩んでるけど思いつかないんだよね。
「芙祐が彼氏へのプレゼントで悩むのって珍しくない?」
うん、たしかに。
いつもパッと目についたものあげてるからね。
所要時間1分の早業。
「原点に返ったよ、藍ちゃん」
「えー?」
パッと目についたものが、きっとイイ。
インスピレーション超大事。