あ。そうだ。



「あたしの家に泊まりにくる?誰もいないし」



「え?」




慶太くんのリアクションで、我に帰ったよね。


なんのオサソイしちゃってるのかな、あたしったら。




うん。
やめとく、取り消す。




「いや、やっぱりどこかでデートしよっか」


「うん。わかった」



わかられた。
アッサリ。


慶太くんて、いつも優しくて、あたしに合わせてくれて。



欲とか、ないのかな??



っていうか、手慣れた慶太くんにとったら、"初めて"とかめんどくさいもんね、きっと。



なんとなくしょんぼりしていたら、



「どこかでデートしてから芙祐ちゃん家でお泊まりは?」



「え?」



「泊まっていいんでしょ?」



慶太くんはそう言って、にやっと笑う。
その笑顔の意味、わかってるよ。



「うん。うん、わかった。今度こそ頑張れるように」



努力します。

って何言ってるんだろ。



赤くなる頬抑えながら、慶太くんをおそるおそる見上げた。



そしたらクスっと笑われた。
……ヒドイ。




「可愛すぎるから」



ぐっと、顔と顔の距離を縮められる。



「な、」



何も言えません。その近さ。




「……リベンジする?」



色気溢れるその低い声に。



こくん、と頷くあたし。



「ははっ」



12月の寒空の下。手をつないで。


慶太くんはあたしに優しくキスをした。