静かな校舎。
階段上がって、2階。
数学の教材運んでるツイてない人発見。


坂木 弥生(サカキ ヤヨイ)。同じクラス。
あだ名はヤヨ。
そう呼ぶのはあたしだけ。


あたしが命名して1年。
全然浸透しなかった。
あたしもマダマダだよね。



「おはよ。ヤヨ」



背たかい。
見上げるとね、首イタイ。



「芙祐も手伝え」



命令口調で差し出された教材。
教室へ運ぶの、あたしたちの仕事。



ヤヨとあたしはいつも
先生にパシられてるからね。


「よい、しょ」


一番軽いの持つね。
だって女の子だもん。



「……。まぁいいけど」


ヤヨは優しい。