映画は恋愛モノにした。ラブコメ。
せーので決めたら、この映画で一致したんだよ。
さすがあたしたち。



人気の俳優さん、超かっこいい。
でもね




「……ちょっと集中しなよ」




そう言って、困った顔で笑う。
照れた横顔、慶太くん。
そんな彼の方がずーっと、ひゃくまんばいスキ。




「あー、おもしろかった」


「ほんとう?芙祐ちゃん集中力なさすぎだよ」




慶太くんばっかり見てるようにみえた?
その通りだよ。



あ、でもね。
しっかり、映画も見てたからね。
慶太くんが買ってくれたチケット無駄になんかしないよ。




「一度は別れたけど、復縁してよかったよね」



やっぱり恋愛モノはハッピーエンドがいい。彼氏と見に来たときはとくに。はは。



「でも芙祐ちゃん的には復縁なんてありえないんでしょ」



「ないね。慶太くんもないでしょ」



「うん、そうだね」



価値観、ほんとに似てるから。


付き合ってていろんなことが苦じゃなくて、楽しくて。




「慶太くんはメール返事返してとか、男と会うなとか、アドレス消せとか。束縛なんにもしないよね」



初めてだよ、そんなひと。



「芙祐ちゃんもしないじゃん。なら俺もしないよ」



「束縛したい?」



「ゼンゼン」


「よかった」



にっこり笑って慶太くんの手をつなぐ。




夜の道。
肌寒いから、ちょっとくっついて歩くね。



街はところどころで電飾が煌めく。
水色と青と白。爽やかな色の光、スキ。



「芙祐ちゃん、クリスマスどうしよっか」



「クリスマスね、あたし門限ないよ」


「へぇ、なんで?」



「パパとママは毎年どこかに泊まりにいくの。デート」



「仲良いんだね」



「へへへ」