「慶太ー!次同じ班だよ!早く行こ~」



元気に慶太くんを連れ去ろうとするのは。
英文科の子かな?


ロングのストレート。つやつや黒髪。
明るくて活発そうな子。以上。




「じゃあ、そろそろ行くね」


「うん。じゃあまた明日かな?」


「そうだね。また明日」


「ばいびー」




慶太くんが隣の棟に戻って行く。
黒髪ロングちゃんは、慶太くんの制服の袖元、ちょこんとつまんでる。




……あざとい。
なんちゃって。




「芙祐ってすごいね」


「なにが?」


「私だったら今日の放課後なにがあるの?とか聞いちゃいそう」



怒らないのはすごい、尊敬する、とか言うけど、藍ちゃん。
ほんとは違うんだよ。



「彼氏の100%を知ろうとすることは愛じゃないよ」


「何その名言」


「言ってみただけ」


「なにそれ」


「信じてるもん慶太くんの事。裏切られたら信じるのやめる」


「わかるようでわかんない」



要するにね。
束縛は。
するのも、されるのも、キライってこと。