布団を直してるあたしの手、ぎゅっと抑えて。



熱のせいかな?
切なげな表情。



「……俺の女になって」



小さい声がポツリと聞こえた。



「……え?」



一瞬、時が止まってたのはあたしだけ。
ヤヨの、ぼうっとした目はもう閉じられてた。



……口説き逃げ?



「寝ちゃった……」



なんていう子。


寝ぼけたの?
なんなのかな。



「手、離してよ」



あたしの理性はそう言ってるよ。



しばらく手を握られたまま。
ぼーっと寝顔をみていたら、ようやく保健の先生が来てくれた。
これで安心。


よかったねヤヨちゃん。



「おやすみ、ヤヨ」



握られていた手のひらを、そーっと離した。