「もう行くん?」


その声に振り返った。



「邪魔しちゃ悪いかな、って……」



なに、その、目は。


熱に潤んだ目が、ぼーっとあたしを見つめてる。



まるで捨てられた仔犬のような目しちゃって。ずるいよね。
よしよしうちで飼ってあげようってなるよ。
ヤヨはね、生き残るタイプ。



「ここにいてよ。暇だし」


「甘えん坊さん」


「うざ」



ヤヨの風邪はね。
あたしに責任の一端があるからね。


ベッド脇の丸椅子に腰をおろした。



「先生が来るまでここにいるから、安心して寝ててね。子羊ちゃん」



「誰が羊だよ……」




そう言いながら、ちょっと微睡んでるのかな。
すーっごく浅く寝てるよね。
ちゃんと寝たらいいのに。




「あー……だりぃ」


「大丈夫?熱あがったかな」



額に手を当ててもね。もう無抵抗。
どんどん調子悪くなってるみたい。




ヤヨに布団をかけ直しながら


「何かしてほしいことある?」


って聞いたら。