「でも俺は芙祐ちゃんだけだから」


いくら雑踏の中って言ってもね。
道のど真ん中なんですけど……。



「大好きだって、本気で思いながら抱きしめてるから。今」



「うん……」


「もう今後は、ついうっかりも無いから」


「うん」



大きな体に抱きしめられた。
聞こえる鼓動、とっても速い。



「あたしだけの慶太くんでいいの?」



「当たり前」



あたしたち、離れて、ちょっと見つめ合う。


ふたりして気が抜けたのかな。
あはっ、って吹いちゃった。




「……ほんとに血の気が引いたから」



「なんで慶太くんが。そのセリフはあたしのだよ」




「別れようとか言うの、まじでやめて」



二の腕を思いっきり引かれて、もう一度暖かい腕に包まれた。