こんな彼のためならば
やってみせましょう。
お弁当……いつかね。
「匠、はい、お茶」
「さんきゅー」
藍と匠くんの自然なやりとりが、落ち着いた夫婦のようだったよね。
慶太くんに、「はい、いちごミルク」ってしようとしたんだよ?
空っぽだったんだよね。
「芙祐ちゃん、藍ちゃん目指さなくていいから」
慶太くんが笑ってる。
「あたしよく考えたらあんまり尽くす方じゃなかったかも」
「いんじゃないの?」
「でも内助の功とか、いうしー」
お弁当の卵焼き。パクって食べてたら。
慶太くんが耳元に近づいた。
「女は愛されてなんぼだと思うよ」
その低い声に、顔が熱くなる。
「……ちゃ、ちゃらい」
「可愛いなぁ。もっと動揺するとこ見せてよ」
ははっと笑いながらそんなこと平気で言うんだもん。
「バカップル」
って、バカップルに言われちゃった。