【完】ぎゅっとしててね?

ようやく順番が回ってきた、迷路。
ブロックごとに問題があって、ソレをクリアしないとそこで脱落らしい。



「問題っていうか、これ勉強じゃん……」



さすが進学校の生徒の考えることだよね。

こんなとこ来てまで勉強なんて……燃えるんですけど。嘘。



「芙祐ちゃんそうみえてやっぱり賢いんだね」


「そうみえてって何ー」



答えはAだから、右に進む。


突き当りに、次は英語。しかも長文。


模造紙の問題をじーっと眺める慶太くん。のことを、眺めるのはあたし。



「Cだね。Cは……こっちの道か」


「もう読んだの?」


「うん」


さすが帰国子女。恐るべし。


「ちょっと英語喋ってみて?聞いてみたい」


「It is impossible to love and be wise」


「すっご……ネイティブ。どういう意味?」


「さぁね」


「えー教えてよ。てゆか、日本語と英語どっちが得意なの?」


「中学までは日本語のほうが下手だったよ」


「なんか住む世界違うね……」


「なーに言ってんの。次行こっか」



ふっと笑う横顔と流し目。


はぁぁ……色気。色気大魔神。慶太くん。