【完】ぎゅっとしててね?

「で、なに話してたの?」


「お化け屋敷行かない?って」


「お化け屋敷かぁ。芙祐ちゃん好きなの?」


「全然だめ」


「俺も」


「あははっ。意外ー」


「こっちならいいよ。迷路。行ってみる?」



「行く。段ボール迷路のオリエンテーリング?」


超たのしそう。
そういうの好き。



着いた教室。長蛇の列。



「人気だねー」


「並ぼうか」


列をなす人ごみの中。


手、繋いでみようかな。



ヤヨみたいに「え!?」って顔するかな。にひひ。



そーーっと、手のひらに触れた。



そしたら、慶太くん。
ちらってあたしを横目で見て、


「繋ぐ?」


って、にっと笑いながら、あたしの手を包んだ。



……慶太くん、余裕だ。



「花火以来だね?」


低い声が傍でささやく。


「……うん」



なんでだろう、あの時より数倍どきどきしてる。
この声にも、手の暖かさにも。


やばい。
手汗かく。こんなどきどきしてたら持たない。


前もって離そうとしたら。




「……離さないよ。残念でした」



なに、その、いじわるな顔。


あたしはさらに赤面してうつむいた。