"すき"の文字が消された白いあと。


チョークをきゅって握りしめた。




白いあとの上に。重ねて書くとすれば。


同じ

"すき"


の文字。




あたしは真っ赤になったまま。



「あたしも事故っちゃった」


カランとチョークを置いた。




「芙祐ちゃん」



優しくあたしの名前を呼ぶ声。
まだほっぺの赤い慶太くんを見上げた。




「俺と付き合ってください」





深呼吸、いっかい。




「……はい」




あたしが頷くと、慶太くんは小さくガッツポーズしながら、嬉しそうに笑った。