Side芙祐

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「藍ちゃん。たいへん」


「どうしたの?」


「お手紙もらったよ。知らない男子から」


「うそー!?どこの誰?」


「えっとね、1年の……」「それ没収していい?」



って、突然手紙を取り上げられた。大きくて綺麗な手。慶太くんだ。



「どうしたの慶太くん。普通科に用事?」


「次、外で体育だから。通り道」


いいなぁ、体育。
混ざりたーい。


って、そうじゃない。


「手紙返して」


ひと様の文章をさらすような悪党じゃないからね、あたし。



「芙祐ちゃんモテるね」


ポンっと手紙が返ってきた。節度あるヒト、慶太くん。



「慶太くんなんかいつも貰ってるでしょ」


「手紙はないなあー」


「みんなデジタル派かぁ」


「うんうん、でも手紙ってなんか嬉しいよね」


そう言う藍ちゃんの笑顔、眩しい。


「藍は匠くんから貰うんだ?」


「たまーにね。ほとんど無理やり書いてもらってるけど……」


幸せ者め。



「いいなぁー。あたし彼氏から手紙なんかもらった事ないよー。ちょっと憧れるかも」