「……起きろよ、馬鹿」




起きる気配がまるでない。


仕方ねぇ……。


芙祐を担いで、もともといた部屋に連れて行く。


芙祐を見つけた途端、桜木慶太が安堵の溜息をついた。



「芙祐ちゃん、寝たの?」


「起きないんだよ。送ってやってくれねえ?俺まだバイト中だから」


「ありがとう、弥生くん。助かった」




最悪。

まじで最悪、あの泥酔女。




キッチンに戻っても、さっきの言葉が頭の中で繰り返される。




「弥生、なんか休憩終わってから変だよ?」


「なんでもないです」


「魂抜けてない?ハイこれ24番ね」




”ヤヨちゃん”


にこにこ笑って、平気でべたべたしてきて


”トモダチなの”って、ぶざけんな。


って、全部八つ当たりだけど。



「はぁー……」



”幸せ逃ーげた”




……悪魔。