潤んだ瞳、俺を見上げる。
赤い頬と、少し空いた唇と。




「まじで水飲め、これ全部」



直視できねえ……。


するいだろ。普通に。



「ありがとう……優しいなぁ」


ぎゅっと腕に力が入る。
これ以上くっつくな、泥酔女。



「いいから、離せって」


「えー、邪魔者扱いだ」


「そうじゃないから」


「お水飲んだよー」


「マシになりそうか?」


「うん。ありがとう」


にひひーとか言って笑って、
とろんとした目はたまに閉じる。


……駄目だこいつは。



「俺あと30分働かねえと帰れないからな……。もう少しあの部屋にいとけよ。家まで送ってくから」


「ひとりで帰れるよー」


「無理だろ。つーか駄目だから」


「えー?……本当に優しいなぁ」



俺を見上げて笑う芙祐。
その隙だらけの芙祐に、なんでこんな緊張してんだ。


いつもこうやって、のほほんと他人の心拍数あげるんだ、こいつは。