「じゃあ、かんぱーい」


おつかれーって、別に疲れてないけどグラスを交わす。もちろんジュースだよ。未成年だからね。


今日のメンバー、レベル高いかも。



「どう芙祐〜?誰狙う?」



隣のリコちゃんが耳打ちをする。腕利きのハンターめ。


「リコはー?」


「リコはね〜、」


テーブルの下で一番左の人を指差してる。


「あーたしかに。リコ好きそう」


「芙祐はやっぱり慶太くん?」


「わかんないよー」



先輩にふざけて絡まれてる慶太くん。
困りながらも笑ってる。あの笑顔すき。


……うん、この中なら慶太くんがいい。



「失礼しまーす」



店員さんが、ドリンクを持ってきてくれた。
ドリンクを受け取ろうと、手を伸ばしたとき。



「…芙祐?」


その声に、見上げれば。ヤヨがいた。
黒いお店のTシャツには名札がついていて、"ヤヨイ"って書いてある。



「あー弥生だ〜。ここでバイトしてたんだ〜?」


「なに…また合コンか?」



「そーだよ〜」
ってリコがピース。


「……。あっそ。本当今日合コンしてる客多すぎ」


一番ヤヨに近い場所にいたあたしの目の前に、ウーロン茶を差し出すと



「どーぞ、ごゆっくり」



そう言いながら、ガチャンっと、乱暴に置かれた。



「ヤヨちゃんまた反抗期ー?」


「うるさい」


バシンと扉しめちゃった。



みんなわいわいしてるからそんなに気づかなかったみたいだけど。



店員としてあるまじき行為だからね。
次やったらげんこつ。



でも、それ以降ヤヨがこの部屋に来ることもなく。



合コンももう1時間がたって、大学生たちはお酒が回ってきたのかな。さっきよりテンション高く見える。