【完】ぎゅっとしててね?

…………。
うーん、行こう。
謝ろう。全力で。



そう決めて、急いで教室の扉に触れたとき、勝手に扉がガラッと開いた。
あたしエスパー。


違った、慶太くんが開けたみたい。


「芙祐ちゃん。どうしたのそんなに慌てて」


目、目が。
合わせられない、かも……。



「ちょっとヤヨ……ヤボ用が」



「……ふうん。じゃあ俺と一緒に帰らない?」


「って、聞いてた?用があるんだよ」


「わかってるよ。弥生くんでしょ?」



「いや…えと、うん」



「弥生くんのところ行かせたくないなぁ」


にっこり笑う慶太くん。
を視界に入れたらちょっと鼓動が上がっちゃったよ。不覚。



でもでも、言い訳だけど、あのキスのせいだから。
付き合ってもない人に、されたのが、初めてだったから……



なんて、言い訳しすぎた。うそ、うそ。



だってうまかったんだもん。
ドキドキしない女の子、多分いないよ。いや絶対。