「……え?!え?!」


芙祐ちゃんがあたふたしながら唇を抑えてる。


「俺のこと信じて。本気だから」



芙祐ちゃんは真っ赤な顔をして俺を見てる。震える瞳。動揺。
可愛い。



「こんなところでそんなことして、よく本気だとか言えるよな」



「……ヤ、ヤヨ」



最悪。なんでいるんだよ。



「どうせ誰にでもすぐ手ぇ出してんだろ。あんまり女からかうなよ」



弥生くん、ぶち壊しにしないでくれる?


俺がいつ好きでもない女に手ぇ出したったいうんだよ。



「芙祐、行くぞ」


「いてててて。なにすんのヤヨ」


弥生くんのカッターシャツの袖口で、芙祐ちゃんの唇を思い切りぬぐった。
グロスがべったりついた袖口も気にせず、芙祐ちゃんの手を引いていく。




それってヒーロー?


ふざけんな。



「芙祐ちゃん。俺は手段を選ばないから。ごめんね」



わかりやすいくらい、真っ赤に火照る、その横顔。


頬を赤く染める芙祐ちゃんをもっと見たいから。


ヒーローの弥生くんにはコレ、できないでしょ?



覚悟しててね、芙祐ちゃん。