SIDE 慶太

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学年集会が始まる前、体育館で、芙祐ちゃんと二人、いい感じにはなしてたんだけど。

途中から殺気感じてたよ。


……弥生くん。
ほんと、芙祐ちゃんのこと好きみたいだね。



プリントをネタにして、俺から芙祐ちゃんを奪おうとするから。


手伝うよ、とか言ってみたら案の定、


「……いや、俺ら二人で大丈夫。ありがと」

って断られた。



あーあ、芙祐ちゃん、連れてかれたよ。



普通科の列に並んだ二人の仲のいいこと。



「慶太くーん!こっちこっちー」


クラスの女子にひっぱられて、俺も列に並ぶけど。
こっからバッチリ見えるんだよね。




芙祐ちゃんと弥生くんがくっついてんの。今。




「……離れろよなー」



弥生くん、それはさすがにくっつきすぎでしょ。



「え?!ごめん!私そんなつもりじゃ…」



バッて隣の女子が距離置いて謝ってきた。



「あー、ちがうちがう。いまの独り言。ごめんね?」



「独り言?へんなのー。びっくりしたぁ」



あ、弥生くんと目が合った。



あれだね。これは、“見せつけられてる”。



そういうことしちゃうんだ。
まんまとイライラしてるけどね。



じゃあ、俺も。
容赦しないから。




これはお互い無言の宣戦布告。