SIDE芙祐

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海も、お祭りも花火も、たのしいことって一瞬で終わっちゃう。


夏休みもあとわずか。


夏休みの課題っていうのは。
内容はそんなに難しくないけど量が多すぎる。


去年はクラスの子達みんなでヤヨの家に集まって、課題を解くの、協力しあったんだけど。



今年はカップル出来すぎたせいで、全然予定が合わないから。



ヤヨの家でふたりきり。
大丈夫、ヤヨは安全男子だから。



わんわん!って吠えるのは、ヤヨじゃなくて、本当のわんちゃん。
可愛いトイプードルの、名前はモグちゃん。


「お利口なわんちゃんがわんちゃん飼ってるんだもんね」



「誰が犬だよ」


「かっわいー。よしよーし」



って、戯れすぎた。


「いい加減はじめるぞ」



ヤヨに部屋まで連行されて、宿題開始。



「やっぱ人数いないと時間かかるね」


もう2時間経っちゃった。


「去年だってほとんど芙祐と俺の写されてただけじゃなかったか?」


「そうだっけ」


「そんで芙祐はやらな過ぎ。ほぼ白紙じゃん」


「夏休みと勉強って結びつかないからね」


「……。そういえば。花火どーだったん」


「楽しかったよ。そうだ、あの日は足踏んでごめんね」


ってちょうど慶太くんからメールの返信が来た。
あの日から毎日続いてるんだよね、メール。



「さっきからソレ、うざいんだけど。電源きっとけ」


「ヤヨちゃんいつからそんな怒りんぼになったの」


「うざ」


「みーけーんっ」


ヤヨの眉間の皺、ナデナデ。



「やめろ」


へへっ、
オコリンボ。