男5人、1階の英会話教室で昼飯のパンを齧りながら、宿題のノート写しの真っ最中に。


「慶太っていつもいろんな子と遊んでるけど、本当のところどういう子がタイプなん?」


なんで男同士で恋バナしてんのかわかんないけど。


「はー?タイプねぇ……」


そんなこと考えたこともなかったなぁ。


「あー、あの子かな」


って適当に指さしたのは、外のベンチで弁当を食べてる女子。
なんとなくきつそうに見えるけど、可愛い子。


「は!?」


って過剰反応したのは匠。


「なんだよ」


「いや、べつに……」


「まさか噂の”藍ちゃん”?へー、めちゃくちゃ可愛いじゃん」


「慶太まじで藍のこと……?」


「いやごめん、適当。会ったこともないし」



でもまぁ、かなりレベルは高いと思うけど。可愛いし。


「でも”藍ちゃん”って話聞いてる感じ、もっと清楚な子かと思ってた。茶髪にあの制服、あれ頭髪検査アウトでしょ」



「え?藍は髪短い方だけど。なんだー。お前の言ってるの”フユ”っていう子だわ」


匠は安堵の溜息、のち笑顔。単純なやつ。



「フユ?あだ名?」


「本名。つーか知らねえの?結構有名だよな?」


「俺も知ってるわ。土屋芙祐。美人だよな!」


「でも噂だと彼氏とっかえひっかえだっけ?」


「藍が言うには”彼氏自体に執着がない”とか……?わかんねえけど」



「噂によるとすげー魔性らしい」



「なにそれ?!俺も遊ばれてー!!」



大盛り上がりだね。
俺は輪から外れて、窓の外の彼女を見た。



本名、土屋芙祐ちゃん。
ロングの茶髪。
ネコ目の大きな目。
ふっくらしたピンクの唇。


薬指に指輪してるから多分彼氏アリ。