SIDE 慶太
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「でも俺はちゃんと好きになったよ。芙祐ちゃんのこと」
スターマインの音にかき消された。
「なんてー?」
芙祐ちゃんは背伸びしながら俺の耳元で聞き返した。
アップにまとめられた髪から、花みたいなシャンプーの香りがふわっと香る。
俺ね、コレ、一応人生初のガチ告白だから。
……言い直してやんない。
苦笑いする俺を見て、芙祐ちゃんは首をかしげた。
――――――前から芙祐ちゃんのこと気になってたよ。
そう言ったら、芙祐ちゃんは何て言うんだろう?
”ちゃらーい”
”嘘ばっかり”
芙祐ちゃんは俺のことなんか覚えてないから、にこにこ笑いながらそう言うんだろうね。
俺としては、心外なんだけど。