SIDE 慶太

***


「でも俺はちゃんと好きになったよ。芙祐ちゃんのこと」



スターマインの音にかき消された。



「なんてー?」



芙祐ちゃんは背伸びしながら俺の耳元で聞き返した。
アップにまとめられた髪から、花みたいなシャンプーの香りがふわっと香る。



俺ね、コレ、一応人生初のガチ告白だから。


……言い直してやんない。



苦笑いする俺を見て、芙祐ちゃんは首をかしげた。




――――――前から芙祐ちゃんのこと気になってたよ。



そう言ったら、芙祐ちゃんは何て言うんだろう?




”ちゃらーい”
”嘘ばっかり”



芙祐ちゃんは俺のことなんか覚えてないから、にこにこ笑いながらそう言うんだろうね。


俺としては、心外なんだけど。