「芙祐ちゃんてさ。人のことちゃんと好きになったことある?」


「あるよ」


「そー?」


何、その、疑いの目。
好きじゃなきゃ付き合わないよ。
失礼しちゃうよね。



「そういう慶太くんこそ、ちゃんと好きになったことあるの?」


「んー。どうだろ?」


「付き合ったことはあるんでしょ?」


「たくさん」


「だよね」



……やっぱりちゃらいんだ。
なんかちょっとがっかりしたかも。ちょっとだけ。なんとなく。



いいや、話変えちゃえ。


「スターマイン、始まったね!」



夜空をカラフルに照らす、スターマイン。
途切れない音。大好き。



「でも俺、芙祐ちゃんより一歩リード。最近好きって意味わかって来たかも」


あ。話戻された。


「一歩リードって。あたしだって好きって意味くらいわかってるよー」


「似てるから、わかるんだよね。芙祐ちゃん多分、初恋まだだよ」


「そんなことないよ」


だって、ずっと。
レンアイしてきたし。


反発しようとしたら、
浴衣の袖を掴んでたあたしの手が、慶太くんの手に包まれた。



「でも俺は――――――」



慶太くんの声。
スターマインの音にかき消された。