まっすぐ行って、あそこを右だっけ。
隣を歩く慶太くん、今日は違う香水の匂いみたい。


ドライヤーの売り場。


ここだよって指さしたら、



「……ぶはっ」


って慶太くん、吹きだした。




「芙祐ちゃん……これ、ドリルだから……っ」


「え?」


ほんとだ。ドリルだ。


慶太くんすごい震えてる。笑いすぎじゃない?
なんか……つられて笑っちゃうよね。



「芙祐ちゃんやっぱ面白いわ」



まだまだ笑ってる慶太くんとドライヤー探し中。


「ねぇ、笑いすぎ」


「はーおかしい」


「あ、今度は本当にあったよ」


「うわ。種類ありすぎ……。値段で決めたらあいつら怒るだろうしなぁ」


慶太くん疲れ顔。
キョウダイって意外と大変なのかもしれない。


「ドリル買ったら怒るだろうな……ぷっ」


「まだ言うかぁー」


ぽんってグーパン。ホンキじゃないよ、女の子だからね。


「あははっ。芙祐ちゃんどれがいいと思う?」


「えー?これ?よくわかんないけど」


「テキトーだな。でもじゃあこれにしよ。ありがと」