幼なじみ以上になんてなれないよね?
「おはよー、菊菜!」
親友の山本絵里に肩を叩かれ、体がビクッと反応する。
「なんだぁ、絵里かぁ……」
「絵里かぁ、って何よ?ってか、今日あいつと来てないの?」
あいつ。
そう言われて、顔がフグになる私。
「え?なに何?なんかあったの?」
あいつと言えば一人しかいない。
そう、私の幼なじみ高田光輝だ。
「ちょい、聞いてくれますぅ、絵里さぁん?」
「どぉしたのよー?」
教室に戻ってから、私は絵里に話した。
事の始まりは、昨日の夜だった。
・・・・・・
美術部に所属している私は作品を完成させるため、帰る時間が遅くなった。
ーパァン!!
家に帰るなり、クラッカーの音が耳に響く。
訳が分からない私は、急いでリビングへと駆け付けた。
「なに?何事よぉ?」
別に今日は、家族の誰かが誕生日ってわけじゃない。
戸惑っている私の目に映ったのは、高田光輝だった。
「よぉ!なんか、俺に言うことないわけ?」
「はぁ?なんでいるのよ?」
切れ気味に鞄を床に投げ捨てた。
まぁ、冗談半分にだけど。
「ちょー、ヒドイって!今日は・・・」
「あ!」
「思い出した?」
そうだった、今日は光輝の誕生日だった。
「思い出したよ。ハッピーバースデー」
「うん、ありがとなぁー」
へラッと笑う光輝にドキッとしてしまう。
相手は光輝だよ?
なに、今更ドキッとしてんの?私。
「ってか、光輝さぁ、私の誕生日祝ってくれたことないのに何が自分だけ祝って欲しいみたい な感じになってるわけ?意味わかんない。ここ、私の家だし」
ドキっとした押しつけ?みたいな感じで光輝に強くあたってしまった。
こんな事、言いたいわけじゃない。
素直におめでとう、って言いたいだけなのに。
「今すぐ、帰って!」
「分かったよ」
投げ捨てみたいに光輝は去って行った。
帰っちゃうんだ?
へぇー!
ま、私には関係ないし。
明日一緒に学校行かないだけ・・・だし・・・・・・。
なんで、なんで私泣いてんの?意味わかんないのは、私だし。
きっと・・・、いや。
絶対、私光輝に恋してたんだぁ。
・・・・・・
「ってな訳で、恋してたことも気づいたし、ケンカはしたし…で…しんどいの。いろいろと」
「ふぅん。向こうはそうじゃないみたいだけどね?」
「は?」
「ほら、あそこ」
絵里が指さした方向は、教室のドアだった。
「光輝!昨日はごめん。いろいろと迷惑かけちゃって…。ほんとうに…」
「いや、わかったって!大丈夫だから。それより大事な話があるんだけど・・・」
「ん?」
言われるがまま、光輝について行く。
大きいなぁ、光輝の背中。
好きになるまで気づかなかったよ。
いきなり止まったと思ったら、光輝は意外な一言を口にした。
「俺、来年の2月に引っ越すことになったから・・・」
は?
なに言ってんの?光輝・・・。
「まだまだ先だけど一応、菊菜には言っておこうと思って・・・」
「嘘・・・だよね・・・」
「いや、マジなんだよね。これが…」
なんで?
なんで引っ越しに行くの?
「おれ、自分だけ祝って欲しかったわけじゃなくて、伝えようと思って、昨日菊菜の家に行っ たんだ」
勘・・・違い?
理解、できない。

