夏 恋 花 火


買ってもらったりんご飴は、赤くて大きくて、舐めたらすごく甘かった。

優しい、優しい味がした。


よくよく考えてみたら、

私、いつも俊也に助けられて、支えられているんだね。


馬鹿でアホでガキだけど、私のこと、

すごく大事に思ってくれてたんだね。


気がつかなくて、ごめん。

強がりで、意地っ張りで。



「……ありがとう」

「え?何か言った?」

「な、何でもない!」


やっぱりこういうのは調子が狂うね。

本当にね。



「友香」

「へ?」

やたら真剣な声が聞こえたと思ったら、俊也の顔が近づいてきた。

えっこれって…!?



い、いやー!!


「ふがっ!」


気がついたら、りんご飴で俊也のキスを阻止していた。

つまり、二人でりんご飴にキスしてた。


りんご飴が歯に思いっきり当たったらしい。


「いひゃい……」


眉を垂らして泣きそうになる俊也を、私は笑った。


「ふっ、バッカみたい!あはははっ!」

「おみゃえなぁ~」


私達はもう一度、ちゃんと手をつないだ。

そして、もう一度花火を見上げた。


「きれいだね」

「うん」


光の幻想。

夏の夜空に咲く花。


そして、心の中に咲く花。




―――夏恋花火。



☆おわり☆