「やめてください!!」
繁華街の路地裏に入ると女の人の叫び声が響いた。
お腹を護ろうと必死の女の人をケラケラ笑いながら、お腹を中心的に殴る蹴るなどの暴行を繰り返す不良たち。
妊婦だと、見ればすぐにわかる。
誰も止めに入らない。自分も巻き込まれたくない。だからみんな目を背けて逃げる。
私はただその光景を見ていた。
「何してんの。その人妊婦じゃん」
黒髪の細身の男の人が女の人に手を差し出す。
男によって不良たちはコンクリートの上に次々と倒れていく。
「……あり…がと……ぅ」
「旦那さんに早く連絡して、病院行きなよ」
女の人は再度男に頭を下げて、その場を跡にした。
「てかさ、なんで止めに入らないの?」
その言葉は私に向かって放たれた。
なんで?
…それは
「こんな夜に出歩いてる時点で危ないから」
自業自得でしょう。
その言葉が出る前に男に胸ぐらをつかまれる。
「俺、あんたのこと許せない。この不良たちより」
そう言って壁に身体を打ちつけられた。
痛い、そう思った。